とある眼科医のつぶやき

とある眼科医は日頃の診療で患者さんから質問されることに答えたり、眼に関する役立つ知識を提供します。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第14回小児眼科診療セミナー②

Ⅱわかりやすい小児の斜視わかりやすい小児の斜視 ・先天内斜視≒乳児内斜視(生後12ヶ月以内)≒ 本態性乳児内斜視(生後6ヶ月以内) ・本態性乳児内斜視の臨床所見(von Noorden GK) 1.生後6ヶ月以内の発症 2.大角度(30度以上) 3.安定した斜視角 4.交差固…

第14回小児眼科診療セミナー③

Ⅲ弱視の診断と治療弱視の診断と治療(佐藤美保先生) ・SVSでできること ①視力測定× →斜視および屈折異常をスクリーニングする機器 ②3歳未満におけるスクリーニング精度は確立されていない ・SVSは6か月以上の児に有効で、 偽陰性が少なくスクリーニングにg…

第14回小児眼科診療セミナー①

Ⅰわかりやすい小児の検査 検影法の基礎・power crossの原理 球面レンズ(縦共に+,横共に-) 円柱レンズはいずれかの軸は0(=、もう一方の軸は正負問わない ・レンズを2枚重ねる場合、ベクトル計算で合計を出す。 ・skiascope:同行する場合は+レンズを入れる…

Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎とは

Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎は20~40歳代に発症する。 主に片眼性であり、眼の痛みや発赤などの自覚症状は乏しく、 慢性の経過をたどるとされている。 Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎で特徴的な3つの徴候として虹 彩異色、虹彩毛様体炎、白内障が挙げられる。 …

ウェルウォッシュアイとアレジオン

ウェルウォッシュアイ 用法用量 ・1回4〜6滴、1日3〜6回 ・コンタクトレンズは取ってから使う ・他の点眼薬を使うときは先に。じゃないと使った点眼が流れちゃう。5分間隔をあければ大丈夫だろうけど。 ・専用の点眼薬>水道水 →水道水には塩素が含まれている…

虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)

虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群) ・中年女性に多い ・通常、片眼性 ・角膜内皮異常に起因して角膜浮腫、隅角異常、虹彩異常、緑内障が引き起こされる ・Descement膜様の膜様構造物が角膜から線維柱帯表面に増殖することによって眼圧が上昇する ・beaten sil…

色素性緑内障

色素性緑内障 ・ 虹彩中間周辺部の後方偏位に伴うZinn小帯と虹彩裏面の摩擦に より色素顆粒が散布され、隅角に沈着することで発生 ・白人に多く ・近視の若年、男性に多い 【診断】 ・前眼部色素散布所見、虹彩萎縮、周辺部虹彩陥凹 ・Krukenberg's spindle…

Schwartz症候群

Schwartz症候群 ・裂孔原性網膜剥離に伴い、 視細胞外節が線維柱帯に詰まって眼圧が上昇するが、 隅角は開放している →網膜が復位すれば眼圧上昇は改善する ・若年者に多い ・約半数に外傷の既往がある ・原疾患の治療→眼圧上昇続けるなら降圧治療 【診断】 …

アミロイド緑内障

アミロイド緑内障 【概説】 ・家族性アミロイドポリニューロパチーは常染色体優性遺伝で、 全身的にアミロイド沈着をきたす ・名前の通り多発神経炎を伴う ・隅角にアミロイド沈着し、両眼性に眼圧上昇 【診断】 ・落屑物質様の沈着物が瞳孔縁、水晶体嚢前面…

落屑緑内障

落屑緑内障 【概論】 ・落屑症候群に伴う疾患で、高齢者に多い ・スカンディナヴィア半島など北欧に多い ・落屑が房水流出路に沈着することが原因とされる ・散瞳で色素散布され、急激な眼圧上昇きたしうる 【診断】 ・瞳孔縁や水晶体前嚢に灰白色の顆粒状あ…

落屑緑内障

落屑緑内障 【概論】 ・落屑症候群に伴う疾患で、高齢者に多い ・スカンディナヴィア半島など北欧に多い ・落屑が房水流出路に沈着することが原因とされる 【診断】 ・瞳孔縁や水晶体前嚢に灰白色の顆粒状あるいは膜状の沈着物質を認める ・隅角の多くは開放…

続発緑内障

続発緑内障 【分類】 眼圧上昇の機序により2つに分類 ①開放隅角メカニズム ②閉塞隅角メカニズム ①開放隅角メカニズム a.線維柱帯の前に房水流出抵抗の首座があるもの →血管新生緑内障 b.線維柱帯に房水流出抵抗の首座があるもの →ステロイド緑内障、落屑緑内…

原発閉塞隅角緑内障(PACG)

原発閉塞隅角緑内障(PACG) 【概論】 ・PACGは相対的瞳孔ブロックの機序で、隅角の閉塞を生じ、 眼圧上昇により生じる緑内障。 ・ 狭隅角眼で隅角閉塞をきたしながら緑内障性視神経症をきたしてい ない症例は原発閉塞隅角症という 【分類】 急性or慢性 1.急…

原発開放隅角緑内障(狭義)

原発開放隅角緑内障(狭義) 【概論】 ・眼圧は21㎜Hgを超えるが変動し得る ・隅角も狭隅角であったり、そうでなかったりと変動がある ・40歳以上で有病率増加 ・黒人>白人 ・多治見スタディでは男4.1%,女7.3% ・多治見スタディでは原発開放隅角緑内障が0.3%…

プラトー虹彩緑内障

プラトー虹彩緑内障 ・特殊な原発閉塞隅角緑内障 ・隅角底の形態異常があり、散瞳により隅角が閉塞する →診断には隅角所見が決め手となる 【所見】 〇眼圧所見、視神経乳頭、視野: 瞳孔ブロックによる原発閉塞隅角緑内障と同様 〇細隙灯顕微鏡所見:中心前…

Posner-Schlossman症候群

Posner-Schlossman症候群 【概論】 ・繰り返し発作的に虹彩炎と眼圧上昇をきたす疾患 【診断】 ・発作は片眼性で同一側に反復する ・眼圧の割に自覚症状が軽微 ・2週間以内に自然寛解すること ・発作眼は開放隅角で色素沈着が僚眼より乏しい ・寛解期には異…

交感神経刺激薬について

交感神経刺激薬について 非選択性ジピベフリン塩酸塩(ピバレフリン®)1日1~2回α2刺激薬ブリモニジン酒石酸塩(アイファガン®)1日2回アプラクロニジン塩酸塩(アイオピジンUD) レーザー照射1時間前と照射直後に1滴非選択性・β遮断薬は効果が劣る・散瞳作…

プロスタグランジン(PG)薬について

プロスタグランジン(PG)薬 【種類】プロスト系ラタノプラスト(キサラタン®)1日1回 タフルプロスト(タプロス®、タプロスミニ®)1日1回 トラボプロスト(トラバタンズ®)1日1回 ビマトプロスト(ルミガン®)1日1回プロストン系 イソプロピルウノプロストン(レスキュ…

Mooren角膜潰瘍

Mooren角膜潰瘍 【概論】・角膜周辺部にみられる特発性、進行性の潰瘍・原因は角膜を抗原とする自己免疫反応とされる・中高年で発症する片眼性、若年者で発症する予後不良な両眼性【診断】・リウマチ、膠原病、血管炎などの全身疾患を伴う角膜周辺部潰瘍を除…

デルモイドについて

デルモイド(dermoid) 問題1デルモイドの好発部位は?問題2デルモイド表層でしばしば観察されるものは?問題3デルモイド+外耳の奇形は何症候群?【特徴】・下耳側の角膜輪部に好発・白色の半球状腫瘤・腫瘍表層にはしばしば毛髪が観察される ・組織学的には、角…

クラミジア結膜炎について

クラミジア結膜炎問題1クラミジア結膜炎の臨床的分類2つ問題2クラミジア結膜炎で用いられる分類は?問題3 MacCallan分類4期すべて述べよ問題4トラコーマに特徴的な、輪部濾胞が輪部濾胞が吸収されると陥凹になる。これを何という?問題5クラミジア結膜炎で日本…

顆粒状角膜ジストロフィ typeI(従来の顆粒状角膜ジストロフィ)

顆粒状角膜ジストロフィ typeI(従来の顆粒状角膜ジストロフィ) 【概論】 ・TGFB1遺伝子の5番染色体長腕にある555番目のアルギニンがトリプトファンに変異した ため生じたもの・常染色体優性遺伝・本邦の顆粒状角膜ジストロフィはtypeIIがほとんど・ホモ接合…

春季カタル

春季カタルについて 【特徴】 アトピー性皮膚炎を伴う症例も多い 3~4:1で男性に多い 温暖な地域に多い【原因】ハウスダスト、ダニ、花粉、動物のふけ【分類】 眼瞼型 輪部型【症状】眼瞼型→上眼瞼結膜の乳頭増殖と増大 輪部型→輪部結膜の腫脹、堤防状隆起やT…

眼房・隅角の生理学

眼房・隅角の生理学 【眼房・隅角の正常構造】 ・正常人における全房水流出の約80~95%は経Schlemm管流出路から行われる。残りは経ぶどう膜流出路から流出する 【房水経路】 ・毛様体には扁平部と突起部(ひだ部)があるが、房水産生は毛様体突起部で行われる…

円錐角膜

円錐角膜 【概説】 ・角膜中央部の非炎症性突出とその菲薄化 ・思春期に好発 ・男性に多い ・進行性だが、30歳頃に進行は停止することが多い ・両眼性が多いが、重症度には左右で差がある ・機械的な刺激が関与している恐れもある ・Down症候群、Ehlers-Danl…

アトピー性角結膜炎について

【概要】・1953年Hoganにより報告 ・10歳後半から20歳代にかけて増悪する例が多いが、30~40歳代まで背念化する難治症例も みられる。【他覚的所見】 ・​トランタス斑:輪部境界の部分で結膜が盛り上がって堤防のようになっているもの ・乳頭増殖、下眼瞼結膜…

顆粒状角膜ジストロフィII型(従来のAvellino角膜ジストロフィ)

顆粒状角膜ジストロフィII型(従来のAvellino角膜ジストロフィ) 【概説】 ・TGFB1遺伝子の5番染色体長腕にある124番目のアルギニンがヒスチジンに変異したため 生じたもの・常染色体優性遺伝・本邦の顆粒状角膜ジストロフィはtypeIIがほとんど・ホモ接合体は…

急性出血性結膜炎について

急性出血性結膜炎(AHC;acute hemorrhagic keratoconjunctivitis) 【原因】エンテロウイルス70(EV70)、コクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)【特徴】潜伏期:半日~1日両眼性耳前リンパ節腫脹 SPKを合併するため発症時に痛み、異物感を訴える。約1週間で後遺症…

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎問題1アレルギー性結膜炎の分類は?問題2季節性結膜炎で多いのは?その原因で最も多いのは?問題3季節性アレルギー性結膜炎は何を高率に合併する?問題4アレルギー性結膜炎で特異度が高い臨床症状は?問題5 アレルギー性結膜炎で他覚所見7つ問…

アレルギー性結膜疾患に対する点眼薬

アレルギー性結膜疾患に対する点眼薬 ●メディエーター遊離抑制薬 クロモグリク酸Na(インタール®、インタールUD®) アンレキサノクス(エリックス®) ペミロラストカリウム(アレギサール®、ペミラストン®) トラニラスト(リザベン®、トラメラス®) イブジラスト(ケ…