とある眼科医のつぶやき

とある眼科医は日頃の診療で患者さんから質問されることに答えたり、眼に関する役立つ知識を提供します。

アレルギー性結膜疾患に対する点眼薬

アレルギー性結膜疾患に対する点眼薬

 

●メディエーター遊離抑制薬 クロモグリク酸Na(インタール®、インタールUD®) アンレキサノクス(エリックス®) ペミロラストカリウム(アレギサール®、ペミラストン®) トラニラスト(リザベン®、トラメラス®) イブジラスト(ケタス®) アシタザノラスト水和物(ゼペリン®)
ヒスタミンH1受容体拮抗薬 ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン®) レボカバスチン塩酸塩(リボスチン®) オロパタジン塩酸塩(パタノール®) エピナスチン塩酸塩(アレジオン®)
●免疫抑制点眼薬 シクロスポリン(パピロックミニ®)1日3回 タクロリムス水和物(タリムス®)1日2回


1.アレルギー性結膜炎
【軽症例】 ・アレルギー性結膜炎はオロパタジン(パタノール®)かエピナスチン(アレジオン®)の点眼 薬。重症例はステロイド点眼。
アトピー性角結膜炎は眼瞼皮膚の治療も行う。
・巨大乳頭結膜炎はまず原因を除去する
・抗ヒスタミン薬のなかでザジテン®、パタノール®、アレジオン®はメディエーター遊離抑制 作用も併せ持つ。
・​ザジテン®はしみる(∵酸性) ・ザジテン®は接触皮膚炎が多い印象 ・アレジオン®はBAKフリーだが、薬価が高い。
・パタノール®は安い

→コンタクト使うならアレジオン®、そうじゃないなら パタノール®でいい
【重症例】 ・花粉症でも抗アレルギー点眼薬でダメならステロイド点眼(1日4回程度まで) →重症には、0.1%ベタメタゾン点眼薬を使う
ステロイド副作用で眼圧上昇あり、自覚症状乏しく、小児に出やすいので​子どもにはあま
り処方したくない
→とはいえ、症状が強いなら使う →定期的に眼圧チェック
→もちろん使わないのが良い
→初期療法、人口涙液、ゴーグル使用を積極的に勧める また、抗ヒスタミン薬の内服の併用や、眼症状にも治療効果のあるステロイド点鼻薬でもいい (点鼻薬の方が副作用は出ない)
・初診時でステロイド点眼が必要なのは SPK(+)or 結膜浮腫(+)
【人工涙液】
ソフトサンティア®
ロートソフトワン®
・水道水で洗うと目に傷ができてしまうことがある →人工涙液点眼で眼の表面についた抗原を洗い流すイメージ ・人工涙液はハッチアウトを予防する ※ハッチアウト:涙の水分によって花粉が破裂すること。人工涙液はこれを防ぐ。
【初期療法】 ・花粉が飛ぶ2週間前くらいから治療開始し症状出現期間を短くしたり、症状を軽くする
2.アトピー性角結膜炎 ・アトピー性皮膚炎があっても必ず眼症状出るわけではない

→出たら眼瞼皮膚の治療も行わないと結膜炎は改善しない
・結膜炎の治療は上述と同様
免疫抑制剤のタクロリムスは保険適用ではない ・アトピーがありバリア機能低下しているため、​ヘルペスや細菌感染に注意​する
3.春季カタル ・​学童期男子
・​春から夏にかけて​症状悪化
・重症例は角膜びらんや角膜シールド海洋
・分類
1眼瞼型:上眼瞼結膜に石垣状の乳頭+ 2輪部型:角膜輪部に隆起性病変+ ・抗アレルギー点眼→免疫抑制薬点眼→ステロイド点眼の順 ・免疫抑制薬点眼は症状消失から数カ月は継続した方が再燃が少ない
・​シクロスポリンは輪部型に効果的で即効性(ー) ・​タクロリムスはアトピー性皮膚炎合併型に効果的で即効性(+)
プロアクティブ療法:保湿だけでは寛解期治療は不十分 →タクロリムス軟膏の使用回数を減らして継続する(=プロアクティブ療法) →具体的には、1日2回→1日2回→2日1回・・・・
4.巨大乳頭結膜炎 ・ソフトコンタクトレンズが原因 ・痒み、眼脂は少ない
・​ワンデイなら基本問題ない ・0.1%フルメトロンを1日回1~2週間使用