原発閉塞隅角緑内障(PACG)
【概論】
・PACGは相対的瞳孔ブロックの機序で、隅角の閉塞を生じ、 眼圧上昇により生じる緑内障。
・ 狭隅角眼で隅角閉塞をきたしながら緑内障性視神経症をきたしてい ない症例は原発閉塞隅角症という
【分類】
急性or慢性
【概論】
・眼軸長が短い遠視眼では閉塞隅角をきたしやすい。
・相対的瞳孔ブロック(生理的条件下での流出抵抗) が高度となり、後房圧が上昇し、 周辺虹彩が前房へ膨隆することにより隅角が閉塞する
・発作眼の他眼が無治療であると80% が5年以内に急性発作をきたすとの報告もあり、 予防的にレーザー虹彩切開術を行う。
【症状】
・眼痛、頭痛、悪心、嘔吐、虹輪視、視力低下
・片眼性
【発症因子】
・遠視
・白内障
・相対的瞳孔ブロック
【検査】
・うつむき試験
・散瞳試験
・暗室試験
【閉塞隅角緑内障をきたす疾患】
・Marchesani症候群(水晶体が球状で、 亜脱臼を生じるため)
【所見】
〇細隙灯顕微鏡所見:角膜浮腫、散瞳、結膜全充血、浅前房、 フレア。 さらに時間経過例は虹彩の部分的な萎縮や特異な白内障が生じ、 発作寛解後も残るため急性発作の既往を知る手がかりになる。
・光輪視:光源のまわりに傘がかぶった様子。 高眼圧による角膜浮腫により認める。 急性閉塞隅角緑内障でみられることが多い。
〇隅角所見:隅角閉塞あり。 角膜浮腫で観察できないこともしばしば。
〇視神経乳頭所見・発作時の視神経乳頭は発赤腫脹する
・緑内障発作は散瞳状態から縮瞳への移行期で最も起こりやすい。
【治療および予防】
・緑内障発作眼の他眼では、 縮瞳薬を使用していても根本的な瞳孔ブロックの解除にならず、 50%に急性発作をきたす
・発作眼の他眼が無治療であると80% が5年以内に急性発作をきたすとの報告もあり、 予防的にレーザー虹彩切開術を行う。
・ 抗コリンエステラーゼ薬点眼は極度の縮瞳に加えて水晶体厚を増加 させ、 水晶体の前方移動により相対的瞳孔ブロックを増強させる可能性が ある。
【must D/D】
・血管新生緑内障
・水晶体脱臼による閉塞隅角緑内障
・水晶体融解緑内障
【症状】
・急性期のような自覚症状を欠くが、軽度頭痛、 眼痛など軽度の眼圧上昇を疑わせる症状を訴えることもある。
【眼圧】
・初期例では正常範囲にあるが、30~ 40mmHg程度までの上昇を認めることも多い。
・特に、視神経変化の強い例ではほとんどが高眼圧を示す。
【診断】
・PASが必須
・狭隅角眼でPASを発見するには圧迫隅角検査が有用
【所見】
〇細隙灯顕微鏡所見:浅前房
〇隅角所見:狭隅角or閉塞隅角。PASは認めることが多いが、 Schwalbe線を越えることはない。
〇視神経乳頭所見:初期例では正常だが、 進行すると他の緑内障と同等
【治療】
・第一選択はレーザー虹彩切開術(LI) による瞳孔ブロックの解除
・その他にも隅角癒着解離術、周辺虹彩切除術などがある