とある眼科医のつぶやき

とある眼科医は日頃の診療で患者さんから質問されることに答えたり、眼に関する役立つ知識を提供します。

第14回小児眼科診療セミナー②

Ⅱわかりやすい小児の斜視
わかりやすい小児の斜視


・先天内斜視≒乳児内斜視(生後12ヶ月以内)≒ 本態性乳児内斜視(生後6ヶ月以内)

・本態性乳児内斜視の臨床所見(von Noorden GK)

1.生後6ヶ月以内の発症

2.大角度(30度以上)

3.安定した斜視角

4.交差固視:顔の縦中心線をまたぐようにした固視

5.臨床的な中枢神経異常なし

6.みかけ上の外転障害

7.弱視、交代性上斜位


・診断のための検査

1.固視検査

2.眼位検査:交代固視するか。遮蔽遮蔽除去試験で中心固視、 固視持続はするか。片眼遮蔽で中心固視、 遮蔽除去で固視持続わ確認できたら弱視ではない。 斜視弱視の頻度は20%。眼振はないか(潜伏眼振( 遮蔽すると眼振あり)、顕性潜伏眼振

3.眼球が運動検査:見かけ上外転障害がないか。 人形の眼現象を確認。

4.屈折検査:調節麻痺薬(サイプレジン)を必ず

5.眼底検査:網膜芽細胞腫をr/o。 網膜芽細胞腫の主訴の第2位は斜視


・must d/d

外転神経麻痺

眼振阻止症候群

中枢神経異常(脳性麻痺、Down syndrome )

屈折性調節性内斜視

感覚性内斜視

Duane症候群Ⅰ型:病側と逆方向を見ると病眼が瞼裂狭小、 眼球後退、病側側を見ると病眼が外転障害


・治療

術直後の目標眼位:若干低矯正

まず弱視の治療(ope後は弱視治療改善が困難)

交代性上斜位の治療:目立つなら同時に、軽度なら二期的に

超早期手術:生後6ヶ月以内の手術だと立体視獲得率が高い。 2歳を過ぎるとほとんど獲得は見込めない。ただし、 将来続発内斜視になる割合が以前より高いとの報告があるためご両 親と相談して手術については決める。