とある眼科医のつぶやき

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顆粒状角膜ジストロフィII型(従来のAvellino角膜ジストロフィ)

顆粒状角膜ジストロフィII型(従来のAvellino角膜ジストロフィ)


【概説】 ・TGFB1遺伝子の5番染色体長腕にある124番目のアルギニンがヒスチジンに変異したため 生じたもの
・常染色体優性遺伝
・本邦の顆粒状角膜ジストロフィはtypeIIがほとんど
・ホモ接合体は重症 ・顆粒状角膜ジストロフィであるが、組織的にヒアリン沈着と同時にアミロイドが沈着して いるか、あるいは格子状の混濁が実質に見られているものを通常の顆粒状角膜ジストロフィ と区別し、最初にみつかった家系イタリアのAvellino地方出身であったことからAvellino角膜 ジストロフィと呼ばれる
【臨床所見(ヘテロ接合体)】 ・初期:両眼瞳孔領付近にいわゆる顆粒状角膜ジストロフィI型よりは大きい白色~灰白色 の円形で辺縁鮮明な顆粒状の混濁で発症 ・まれに顆粒状角膜ジストロフィでみられる、メロン状線状の混濁もみられる ・進行すると白色の混濁の間にも淡い混濁が徐々に生じる ・25~30歳以上になると角膜実質中層に徐々に星状、棍棒状、棒状の濃い白色の混濁が加 わってくる
・角膜上皮下および角膜実質浅層にヒアリンが沈着
・Masson-trichrome染色で赤色
コンゴレッド染色or偏光顕微鏡でアミロイド沈着は光る
【臨床所見(ホモ接合体)】
・角膜混濁のタイプは2種類 a.type1:より重症で、幼少の4~7歳頃にすでに発症し、進行するに従い顆粒状角膜ジストロ フィtype1で見られる顆粒より大きい充実性の円形白色の辺縁鮮明な混濁が、上皮下あるい は実質浅層に同じ深さで角膜最周辺部を除いた角膜全面で生じ、それぞれの顆粒状の混濁が ほぼすきまなく存在する →幼少時から視力低下、多くは10歳前後でPTK、角膜移植(通常表層)が必要
b.type2:type1と同深だが、細網状の混濁であり、数カ所の円形の透明部分が存在する。全 て鳥取県出身者。
【治療】
・first choice:エキシマレーザーによる表層角膜切除術(PTK) →ヘテロ接合体で再治療はごくわずか ・type1では1~2年ほどで角膜上皮と実質の接するPTK切除面で再発 ・type2でも再発するが、type1よりも時期は遅い

 

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#Avellino角膜ジストロフィ