眼房・隅角の生理学
眼房・隅角の生理学
【眼房・隅角の正常構造】
・正常人における全房水流出の約80~95%は経Schlemm管流出路から行われる。残りは経ぶどう膜流出路から流出する
【房水経路】
・毛様体には扁平部と突起部(ひだ部)があるが、房水産生は毛様体突起部で行われる
・毛様体突起の表面は色素上皮(外層)と無色素上皮(内層)に覆われている。
・房水産生は日中は約3.1μl/minであるが、夜間就寝中は1.6μl/minと減少する
・眼圧が上昇すると房水産生は低下する
【経Schlemm管流出路】
・主経路(経Schlemm管流出路、経線維柱帯流出路):前房→繊維柱帯→Schlemm管→集合管→上強膜静脈
・経Schlemm管流出路における房水流出は眼圧上昇に比例して増加する
→しかし経ぶどう膜強膜流出路からの房水流出は眼圧上昇によってもあまり影響を受けない
a.線維柱帯
・線維柱帯組織は前房側からぶどう膜網、角強膜網、傍Schlemm管結合組織の順
・ぶどう膜網:2~3層の網目状組織
・角強膜網:線維柱帯の主体
b.Schlemm管
・Schlemm管内皮細胞は線維柱帯内皮網と一体構造である
c.Schlemm管から上強膜静脈
d.房水流出抵抗
・Schlemm管は内壁内皮側で流出抵抗が強く、特に傍Schlemm管結合組織近傍で強い。外壁側は流出抵抗にほとんど関与していない。
・上強膜静脈圧は8mmHg程度であり、眼圧はこれを下回ることは通常ではありえない
【経ぶどう膜流出路】
・副経路(経ぶどう膜強膜流出路):前房隅角・虹彩根部→毛様体筋束間→脈絡膜外腔→強膜外眼科組織へ
・房水流出量は圧非依存性
・脈絡膜外腔圧≒前房圧→眼圧上昇でもさほど房水流出量に変化はない
・房水流出抵抗には毛様体筋束間の細胞外マトリックスが関与→筋束間の間隙の広さが流出抵抗に影響
→ピロカルピンで毛様体収縮すると流出量は減少、アトロピンで毛様体は弛緩し流出量は増加