とある眼科医のつぶやき

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虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)

虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)


・中年女性に多い

・通常、片眼性

・角膜内皮異常に起因して角膜浮腫、隅角異常、虹彩異常、緑内障が引き起こされる

・Descement膜様の膜様構造物が角膜から線維柱帯表面に増殖することによって眼圧が上昇する

・beaten silver appearance :角膜後面不整像。細隙灯顕微鏡で観察可能。Fuchs角膜内皮ジストロフィーに類似。

・ICE細胞:スペキュラーマイクロスコープによってICE細胞と呼ばれる細胞内にdark areaを持つ異常細胞が観察される。


【分類】

①進行性虹彩萎縮

②Chandler症候群

③Cogan-Reese症候群


①進行性虹彩萎縮

・孔がある

・Schwalbe線を越える丈の高いPASがあり、その方向に瞳孔が牽引される

→瞳孔が牽引されている方向を隅角鏡で見ればそこにPASがある

・ICE症候群のうち、緑内障の合併が最も多い


②Chandler症候群

・hammered silver appearances:角膜内皮に微細なさざ波様の凹凸あり

・眼圧に関わらず角膜浮腫か起こるのが特徴(∵角膜内皮機能不全)


③Cogan-Reese症候群

虹彩の有色素性結節(有茎性結節と平坦な色素病変)が特徴的


【治療】

・発症早期は眼圧コントロール

・最終的に緑内障手術か必要となる症例が多い

・再手術例は少なくない

・眼圧下降で角膜浮腫が軽減する症例もたるが、角膜内皮機能不全が高度になれば、眼圧コントロールの後に角膜移植することも。

 

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