とある眼科医のつぶやき

とある眼科医は日頃の診療で患者さんから質問されることに答えたり、眼に関する役立つ知識を提供します。

白内障の手術後に物が二重に見える?

白内障の手術をした人で、

 

「物が二重に見える」

「物がぼやけて見える」

 

という方はいらっしゃいませんか?

 

そんな方はこの続きを見てください。なければ読まなくて大丈夫!

 

さて、そもそも白内障は高齢者、特に80代を超えてくると必ずと言っていいほどあります。

 

白内障に対する治療は点眼か手術になりますが、ほとんど点眼では歯止めがきかず、最終的には皆さん手術をします。

 

白内障の手術をした後

「物が二重に見える」

「物がぼやけて見える」

と訴える方が中にはいらっしゃいます。

 

この理由にはいくつかの可能性があります。片方の目は良くなったけど、もう片方は白内障がある。

 

もう一つは術後何らかの合併症を発症した例です。

 

その中に“白内障術後複視”というものがあります。

 

最近は少なくなりましたが、以前は白内障手術で球後麻酔という麻酔をすることがありました。

 

もちろん、今でもすることがあるので、この白内障術後複視はなりえます。

 

白内障術後複視は球後麻酔で針が下直筋という筋肉を障害、あるいは麻酔の薬が下直筋を麻痺させることで生じます。

 

最近はほとんどが点眼麻酔等で、見かける頻度は以前より少ないですが、どのような麻酔を使うのか事前にチェックしておくと良いでしょう!

 

これからも患者さんに役立つ情報をお届けします!それではまた〜

 

#白内障

#白内障術後複視

麦粒腫(ものもらい)について

・「ものもらい」のこと
ブドウ球菌が原因のことがほとんど
セフェム系、フルオロキノロン系を用いる


・分類
麦粒腫:ツァイス腺(睫毛脂腺)、モル腺毛包(睫毛汗腺)
麦粒腫:マイボーム腺


・霰粒腫との違い
触れると痛い
※霰粒腫はマイボーム腺が閉塞し肉芽になった腫瘤
※急性霰粒腫は痛く、また触知が難しくなるため麦粒腫と鑑別が困難なこともある。


・治療
1~2週間で自然治癒
膿が出て治癒する
眼科的治療としては抗菌薬点眼(セフェム系、フルオロキノロン系)or内服薬処方
※霰粒腫の切開は皮膚側からor結膜側から行う
→皮膚側からの切開は皮膚縫合+
→縫合しなくてもよい結膜側から行われることが多い


D/D
・悪性腫瘍:高齢者の繰り返す霰粒腫で注意
・眼瞼ヘルペス:膿はなく、水疱が癒合してできるイメージ
・伝染性軟属腫:放っておいても治るが、早く治すにはアルコールに浸した鑷子で潰す
 

霰粒腫

霰粒腫について


・マイボーム腺の出口閉塞し慢性炎症をきたしたもの。
・通常は無菌性
・疼痛や発赤は乏しい
※感染により周囲に炎症が広がった場合は急性霰粒腫という
・高齢者で同部位に再発を繰り返すなら悪性腫瘍の可能性がある。
疫学
・乳幼児から高齢者まで幅広く分布
治療
・小さいなら経過観察
・大きいなら治療する。
具体的には、
ステロイドを腫瘤に注射
②ope:皮膚側から切開→眼瞼縁に平行、結膜側から切開する→眼瞼縁に垂直に切開する
・感染があるなら感染の治療も

周辺部角膜潰瘍について

周辺部角膜潰瘍


・多くが非感染性だが、感染性の場合もあるため注意

・周辺部の角膜浸潤および上皮欠損、血管侵入を伴うこともある。


D/D

非感染性→リウマチ性、カタル性、Mooren角膜潰瘍(蚕食性角膜潰瘍)、春季カタルによる角膜潰瘍、その他(角膜デレン、Terrian周辺角膜変性は上皮欠損を伴わない。marginal furrow)

感染性→ヘルペス性、細菌性


・非感染性周辺部角膜潰瘍には円形で角膜浸潤と上皮欠損を伴うカタル性角膜潰瘍と角膜輪部に平行で弧状のRA(関節リウマチ)に伴う周辺部角膜潰瘍がある。

・感染性周辺部角膜潰瘍にはウイルス性結膜炎や眼瞼炎を伴うヘルペス性、より深くまでに及ぶ細菌性などがある。

・RAに伴う周辺部角膜潰瘍は血管侵入を伴わずに穿孔することもある。


【合併症】

・カタル性周辺部角膜潰瘍:眼瞼縁炎やマイボーム腺炎などの慢性のブドウ球菌感染が高頻度。巨大乳頭による上方周辺部角膜潰瘍

ヘルペス性周辺部角膜潰瘍:初発のことが多いため、結膜炎や眼瞼縁炎を伴う

・RAによる周辺部角膜潰瘍:涙液分泌異常症や強膜炎を伴うことも


【各論】

①Mooren(蚕食性角膜潰瘍):別記事参照


②関節リウマチによる周辺部角膜潰瘍

・40歳以上の女性に多い

・強膜炎や結膜充血を伴うことが多い

・両眼性

・治療はステロイド。オペするなら角膜上皮形成術や表層角膜移植術。穿孔例は再発しうるので難渋。

③その他自己免疫疾患に伴う周辺部角膜潰瘍

ステロイド、NSAIDS、自己免疫抑制薬などを内服およひ点眼


ブドウ球菌性周辺部角膜潰瘍:別記事参照

⑤デレン(dellen)

・角膜が局所で涙液層に覆われず、乾燥のため角膜実質の菲薄化が生じた状態

・ope後隆起により涙液層が破壊される。

・短期的には眼軟膏、治療用SCL→隆起物除去


⑥Terrien周辺角膜変性

⑦marginal furrow

・加齢に伴う老人環

・軽度菲薄化のみで穿孔はないため治療不要

アイリーアの注意点あげてみた

黄斑浮腫に対して使うアイリーアの注意点思いつくままにあげてみました。

 

これは最低限って感じですが、確認用にぜひ!

 

アイリーア®︎(アフリベルセプト)硝子体内注射薬40mg/ml


・抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体

・採液針は硝子体内注射針としては絶対に用いない

・全良投与禁止

→目盛りは0.05mlに合わせてから投与

・注射前に室温に戻す。ただし、室温に戻したら24時間超えたら使わないように。24時間以内なら冷蔵庫で再冷蔵可能

・広域抗菌点眼剤(ベガモックス®︎)は注射前3日、注射後3日投与

・充血、眼痛、霧視、羞明など眼内炎が示唆される所見があれば来院するよう指示

・有害事象として、結膜充血、眼痛、硝子体浮遊物など多く報告されている

第14回小児眼科診療セミナー②

Ⅱわかりやすい小児の斜視
わかりやすい小児の斜視


・先天内斜視≒乳児内斜視(生後12ヶ月以内)≒ 本態性乳児内斜視(生後6ヶ月以内)

・本態性乳児内斜視の臨床所見(von Noorden GK)

1.生後6ヶ月以内の発症

2.大角度(30度以上)

3.安定した斜視角

4.交差固視:顔の縦中心線をまたぐようにした固視

5.臨床的な中枢神経異常なし

6.みかけ上の外転障害

7.弱視、交代性上斜位


・診断のための検査

1.固視検査

2.眼位検査:交代固視するか。遮蔽遮蔽除去試験で中心固視、 固視持続はするか。片眼遮蔽で中心固視、 遮蔽除去で固視持続わ確認できたら弱視ではない。 斜視弱視の頻度は20%。眼振はないか(潜伏眼振( 遮蔽すると眼振あり)、顕性潜伏眼振

3.眼球が運動検査:見かけ上外転障害がないか。 人形の眼現象を確認。

4.屈折検査:調節麻痺薬(サイプレジン)を必ず

5.眼底検査:網膜芽細胞腫をr/o。 網膜芽細胞腫の主訴の第2位は斜視


・must d/d

外転神経麻痺

眼振阻止症候群

中枢神経異常(脳性麻痺、Down syndrome )

屈折性調節性内斜視

感覚性内斜視

Duane症候群Ⅰ型:病側と逆方向を見ると病眼が瞼裂狭小、 眼球後退、病側側を見ると病眼が外転障害


・治療

術直後の目標眼位:若干低矯正

まず弱視の治療(ope後は弱視治療改善が困難)

交代性上斜位の治療:目立つなら同時に、軽度なら二期的に

超早期手術:生後6ヶ月以内の手術だと立体視獲得率が高い。 2歳を過ぎるとほとんど獲得は見込めない。ただし、 将来続発内斜視になる割合が以前より高いとの報告があるためご両 親と相談して手術については決める。