第14回小児眼科診療セミナー③
・SVSでできること
①視力測定×
→斜視および屈折異常をスクリーニングする機器
②3歳未満におけるスクリーニング精度は確立されていない
・SVSは6か月以上の児に有効で、 偽陰性が少なくスクリーニングにgood
→小児科の先生に良いが、眼科医も参考になる
・SVSが異常なら
①要精密検査→測定条件が良好なら2回検査を行い、 異常なら眼科併診。
②いずれか一方の眼で測定できない→先天白内障、 網膜剥離などが潜む可能性がある
③斜視が2回以上検出されたら専門医へ
④屈折異常が検出された場合
a.生後6か月以上で7.5D以上なら眼科併診
b.1歳~3歳で遠視があるなら眼科併診
c.3歳以降は視力異常あるなら眼科へ
・小児は明るい部屋で視診をし、年相応の行動、顔面・皮膚異常、 あやすと笑うかなどを確認する
・小児の視力不良の原因は
①先天性・器質的問題
②機能異常(屈折異常)
③発達(→待てばよい)
・調節麻痺検査:
アトロピン:副作用は8.8%、そのうち顔面紅潮(40%)、 発熱(30%)
シクロペントラート:副作用は1.2%、そのうち眠気(37%) 、充血(14.8%)
7,9月に副作用発現が多い(∵暑いから熱がこもりやすい)
・学童期で視力不良の発見が遅れても治療は開始する
・弱視の成人の健眼視力が低下が改善は10%、 職を続けられたのは36%
・ERG:無散瞳のため小児に有用
第14回小児眼科診療セミナー①
Ⅰわかりやすい小児の検査 検影法の基礎
・power crossの原理
球面レンズ(縦共に+,横共に-)
円柱レンズはいずれかの軸は0(=、もう一方の軸は正負問わない
・レンズを2枚重ねる場合、ベクトル計算で合計を出す。
・skiascope:同行する場合は+レンズを入れると中和、 逆行する場合は-レンズを入れると中和する。 中和すると瞳孔が均一に光って見える。
・ 50cmの距離でskiascopeを用いると焦点を結ぶ像が遠 視(+2D)よりになるため、結果は-2Dで記載する。
・skiascopeは暗室で行い、散瞳すること。
斜めから当てて視神経乳頭に光を当てると反射が明るくなる。 正面から当たるのは黄斑部。 その際は眼軸が短くなり遠視側へ過大評価したことになる。
・あまりに暗いなら強度遠視か強度近視。まず- 10を入れて明るくなるなら近視、暗くなるなら遠視。 その代わりに+ 10を入れて改善しないなら中間透光体疾患も鑑別に。
Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎とは
Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎は20~40歳代に発症する。 主に片眼性であり、眼の痛みや発赤などの自覚症状は乏しく、 慢性の経過をたどるとされている。 Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎で特徴的な3つの徴候として虹 彩異色、虹彩毛様体炎、白内障が挙げられる。 その他にも虹彩萎縮、緑内障(15~20%) を合併することがあると言われています。
眼科的な所見としては虹彩結節や隅角に新生血管を認めることがあ ったり、 角膜後面の沈着物として小さな星状のものが見えることがあります 。虹彩結節を認めますが、PAS(虹彩後癒着) は認めないとされています。
Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎の治療方法は合併する白内障、 虹彩毛様体炎、緑内障に対する治療がメインになります。 虹彩毛様体炎に対しては通常の場合はステロイド点眼などを用いま すが、 Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎の虹彩毛様体炎はステロイドに 抵抗性があるとされています。
虹彩毛様体炎を合併する白内障に対して眼内レンズを挿入する白内 障治療は好ましくありませんが、 Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎の白内障はたとえ虹彩毛様体炎 があっても手術を行うことができます。
また、 Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎に緑内障が合併した場合はβ遮 断薬や炭酸脱水素酵素阻害薬の点眼薬、 あるいは炭酸脱水素酵素阻害薬内服をして対処します。
ウェルウォッシュアイとアレジオン
ウェルウォッシュアイ
用法用量
・1回4〜6滴、1日3〜6回
・コンタクトレンズは取ってから使う
・他の点眼薬を使うときは先に。じゃないと使った点眼が流れちゃう。5分間隔をあければ大丈夫だろうけど。
・専用の点眼薬>水道水
→水道水には塩素が含まれているため好ましくない。しかし、緊急時には大量の水で洗い流すのが良い。
・BAKフリー
・モルモットを使った実験で、ウェルウォッシュアイ群と無洗浄眼群を比較した時、ウェルウォッシュアイ群では結膜炎のスコアリングと目を引っ掻く回数は有意に減少した。
・保存は涼しいところ、直射日光を当てない
・開封後4週間以内に使用する
アレジオン点眼薬
・適応はアレルギー性結膜炎
・一般名:エピナスチン塩酸塩
・1回1滴、1日4回
・室温保存
・妊産婦、小児への安全性は確立されていない
・副作用:刺激感、異物感、羞明、眼瞼炎
・副作用の発現率は1.32%、73.1%が30日以内に発症し、一番発現率が高かったのは1〜7日
・有効性:眼掻痒感の重症度はその重症度の寄らず2週間ほどで有意に低下した
虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)
虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)
・中年女性に多い
・通常、片眼性
・角膜内皮異常に起因して角膜浮腫、隅角異常、虹彩異常、緑内障が引き起こされる
・Descement膜様の膜様構造物が角膜から線維柱帯表面に増殖することによって眼圧が上昇する
・beaten silver appearance :角膜後面不整像。細隙灯顕微鏡で観察可能。Fuchs角膜内皮ジストロフィーに類似。
・ICE細胞:スペキュラーマイクロスコープによってICE細胞と呼ばれる細胞内にdark areaを持つ異常細胞が観察される。
【分類】
①進行性虹彩萎縮
②Chandler症候群
③Cogan-Reese症候群
①進行性虹彩萎縮
・孔がある
・Schwalbe線を越える丈の高いPASがあり、その方向に瞳孔が牽引される
→瞳孔が牽引されている方向を隅角鏡で見ればそこにPASがある
・ICE症候群のうち、緑内障の合併が最も多い
②Chandler症候群
・hammered silver appearances:角膜内皮に微細なさざ波様の凹凸あり
・眼圧に関わらず角膜浮腫か起こるのが特徴(∵角膜内皮機能不全)
③Cogan-Reese症候群
・虹彩の有色素性結節(有茎性結節と平坦な色素病変)が特徴的
【治療】
・発症早期は眼圧コントロール
・最終的に緑内障手術か必要となる症例が多い
・再手術例は少なくない
・眼圧下降で角膜浮腫が軽減する症例もたるが、角膜内皮機能不全が高度になれば、眼圧コントロールの後に角膜移植することも。
#虹彩角膜内皮症候群(ICE症候群)