とある眼科医のつぶやき

とある眼科医は日頃の診療で患者さんから質問されることに答えたり、眼に関する役立つ知識を提供します。

流行性角結膜炎の疾患概念

流行性角結膜炎(EKC;epidemic keratoconjunctivitis)


【俗称】はやり目

【好発】8月頃

【原因菌】アデノウイルス8,19,37型。4型も軽症となる。

【病歴】1週間→数日の間隔をおいて両眼性へ。 重症例や小児では偽膜形成。発病7~ 10日後頃より角膜表表層に点状浸潤、その他濾胞性結膜炎、 儀膜形成、耳前リンパ節腫脹が出現する。その後、 回復期に点状上皮下浸潤(MSI)という特徴的症状が出現する。

小児では濾胞形成乏しく、偽膜形成しやすい。

【症状】 眼瞼腫脹、充血、耳前リンパ節腫脹・圧痛、漿液線維素性眼脂

【診断】

眼脂の塗抹標本:リンパ球優位の白血球浸潤

アデノウイルス抗原検出キット:感度70%程度と低く、 偽陰性に注意する。

確定診断:ウイルス分離、PCR

【治療】

一般に利用できる有効な抗ウイルス薬はないが、2~ 3週間で自然治癒。細菌二次感染予防のための抗菌点眼、 非ステロイド系 消炎薬の点眼を行う。MSIに対してはステロイド点眼が有効。 感染予防が重要。