とある眼科医のつぶやき

とある眼科医は日頃の診療で患者さんから質問されることに答えたり、眼に関する役立つ知識を提供します。

ゾフルーザ本当に大丈夫?

こんばんは。ドクターKです。

 

相変わらずインフルエンザは流行っていまして、先日は「ゾフルーザという新薬ゾフルーザという新薬 - とある眼科医のつぶやき」という記事で、新薬”ゾフルーザ®︎”についての記事を書きました。

 

ゾフルーザ®︎はインフルエンザA、B型両方に効果があり、タミフルは内服5日間のところ、内服は1回だけで良いという新薬です。

 

つまり、良いところづくし!

 

「でも、本当に大丈夫?」という声が上がりそうですが…

 

そこで、調べてみました。

 

今回の論文は

「Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents.

New England Journal of Medicine 2018; 379: 913-923」

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30184455

というものです。

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インフルエンザ罹患患者にゾフルーザ®︎使うと効果は?副作用はどうなった?という論文です。

 

効果についてはゾフルーザという新薬ゾフルーザという新薬 - とある眼科医のつぶやきを読んでいただきたいのですが、注目は副作用。

 

“diarrhoea (3.0%), bronchitis (2.6%), nausea (1.3%) and sinusitis (1.1%), and all of these adverse events occurred at a lower frequency than placebo.”

とあります。頻度は少ないけど、下痢3.0%、気管支炎2.6%、嘔気1.3%、副鼻腔炎1.1%があるようです。

 

さらに、ゾフルーザ®投与成人患者の約1割でウイルスに遺伝子変異が生じ,発見が遅れ、ウイルス検出期間がむしろ延長し,有症状期間も長引くとも言われています。

 

いわゆる耐性を持ったウイルスです。こういったウイルスがいると、薬剤が効かないばかりか、このウイルスが他の人に感染していくとゾフルーザの効果がないウイルスが広がってしまいうるということです。

 

さらに、ウイルスは変異してしまうことから、タミフルなどの他のインフルエンザ治療薬も効果がなくなってしまう恐れも出てきます。

 

もちろん、この耐性ウイルスはゾフルーザ®︎に限ったものではなく、タミフル®︎などのインフルエンザ治療薬にも言えることです。

 

このようにゾフルーザ®︎は比較的安全な治療薬ではありますが、副作用は必ず存在しますし、耐性の問題もつきものです。

 

しかし、ゾフルーザ®︎の効果および内服期間は1日と非常に魅力的な治療薬です。まだ出始めの薬なので長期的な副作用は分かりませんが、ぜひうまく薬と付き合っていきましょう!

 

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