子どもの眼が赤くなり、目やにが増えたら要注意!
おはようございます。ドクターKです。
昨日はブログお休みして申し訳ありませんでした。おかげさまでアクセス数も徐々に増えてきておりまして、書いていて段々と楽しくなってきました。
「継続は力なり!」
ですね。
さて、今回は「子どもの眼が赤くなり、目やにが増えたら要注意!」ということですが何の病気かわかりますか?
「これだけじゃ何の病気かわからないよ!」
「眼内炎?角結膜炎?」
などのセリフが眼科の先生や他科の先生から飛んできそうですが・・・(笑)今回のブログ記事のテーマはズバリ
”アデノウイルス結膜炎”
です。
「じゃあ、もっと他にも症状があるだろう!周りで流行しているとかそういう情報はないのか!」
とお叱りの言葉が飛んできそうですが。
いいんです。今回はアデノウイルス結膜炎という病気について説明させていただきます。アデノウイルス結膜炎という病気は効果的な治療が存在しないことに加え、周囲への感染力が非常に強いことがわかっています。
つまり、
感染予防
が非常に重要です。さらに、病気を予防するためには
病気に関する知識を付けること
も重要です。そこで、このブログではアデノウイルス結膜炎について
1.アデノウイルス結膜炎の原因とその症状
2.アデノウイルス結膜炎の検査
3.アデノウイルス結膜炎の治療と予防
に分け順を追って説明していきたいと思います。
1.アデノウイルス結膜炎の原因とその症状
アデノウイルス結膜炎はその名の通り、アデノウイルスというウイルスが眼の白眼(結膜)に感染し炎症を引き起こす病気です。
では一体、アデノウイルス結膜炎はどういった症状を呈するのでしょうか。
その前に、聞いてください!(読んでくださいか…)
アデノウイルス結膜炎の診断で最も重要なのは
“臨床症状”
です。(あとはもちろん問診もです。)次の章でも説明しますが、アデノウイルスの検査は陰性でもアデノウイルスがいる可能性が約3割程度あります。つまり、検査で100%分かるわけではないのです。
多くの病気でもそうですが、臨床症状は非常に重要です。というわけで、アデノウイルス結膜炎の症状について説明していきます。
アデノウイルスには様々なタイプがあり、そのタイプによって多少出やすい症状というのがありますが、主な症状は
①眼の異物感(「眼がごろごろする」など)
②流涙(涙が出ちゃう)
③眼脂(目ヤニ)
④(結膜)充血
⑤眼の痛み
などがあります。そのほかにも耳の前にあるリンパ節が腫れるなどの眼外症状もありますがここでは割愛します。
こういった症状を認めた場合はアデノウイルス結膜炎を必ず鑑すべき疾患に挙げます。
2.アデノウイルス結膜炎の検査
さて、1章で説明したような症状があれば多くの方は近くの眼科を受診するでしょう。
眼科で行う検査についてはご存知の方もいるかもしれませんが、主に行われるのは綿棒みたいなやつでごしごしするやつです。この綿棒、正式にはイムノクロマトグラフィー法によるアデノウイルス迅速診断キットと言います。
その他にも、目ヤニを顕微鏡で見る塗抹検査という検査や、ウイルスのDNAを調べる遺伝子検査をすることもありますが、多くの施設では綿棒の検査を行います。
この綿棒の検査かなりの優れものでして、検査陽性であれば100%アデノウイルスが眼にいます(特異度100%)。
ところが、陰性でも約3割の方はアデノウイルスが眼にいる可能性があります。(感度70%程度)
つまり、
陽性なら、
「アデノウイルス結膜炎です。一緒に住んでいる方はいますか?周囲に感染しないさせないよう、手洗いや消毒をしましょう。あと、診断書を書きますので学校や職場は休んでください。」
陰性でも、
「検査は陰性でした。でしたが、この検査30%の方は陰性であっても、症状として目ヤニ、充血、眼の痛みなども出ていますから、臨床的にアデノウイルス結膜炎の可能性が高いです。周囲に感染しないさせないよう、手洗いや消毒をしましょう。あと、診断書を書きますので学校や職場は休んでください。」
となることが多いかと思います。
3.アデノウイルス結膜炎の治療と予防
さてさて、2章の文章を言われ、治療に移っていきましょう!となるはずが…
アデノウイルス結膜炎に対する“有効な治療方法はありません”。
以上!
以上って。じゃあ放置かい!めちゃくちゃ眼が痛いんですけど?
と言ったから治療がないということはないです
確かに、アデノウイルス自体に有効な目薬は現在ありません。
しかし!
安心してください、アデノウイルス結膜炎の症状を和らげる目薬と合併症を防ぐ目的の目薬は存在します。
アデノウイルス結膜炎は眼の結膜に生じた炎症が原因で症状が出ていました。この炎症を抑えるのが“副腎皮質ステロイド”という物質で、これを含んだ目薬を点眼することで、炎症を抑える効果が期待でき、症状を緩和してくれます。
次に、合併症を防ぐ目薬についてですが、アデノウイルスは他の細菌と共存し、アデノウイルスの感染だけでなく、細菌による感染を引き起こすこともあります。これを防ぐ目的で”抗生物質”の入った目薬を点眼することがあります。
ただし、この2つの目薬は使い方を間違えるとさらに症状がひどくなったりすることもありますので、医師に言われた用法用量をよく守ってくださいね!
さて、最後に予防についてです。
アデノウイルスは”接触感染”です。接触感染とは、アデノウイルスを持つ患者さんが触れたものを介して感染が広がっていく感染です。
つまり、アデノウイルス結膜炎にならないためには、
“触れたものに触れないこと!”が基本です。
どうしても触れる必要があるときは“アデノウイルス”に効果のある消毒薬なども発売されていますから、そちらを買われるとよいかと思います。
これ↓(健栄製薬のHPに飛びます。)
https://www.tepika.net/infection/ekc.html
このような予防をしていくことがアデノウイルス結膜炎に対して重要となります。
いかがでしたか?3章に渡って結構盛りだくさんの内容でしたが、アデノウイルス結膜炎について何となく理解していただけましたか?
アデノウイルス結膜炎は流行すると一気に患者さんが拡大していきます。そういった事態を防ぐためには、アデノウイルス結膜炎についてよく知り、すぐに病院へ行き、十分な予防策を講じることが重要です。
それらの点でこのブログの記事が皆さんのお役に立てば幸いです。では、また次回のブログまで~失礼します!
※今回の記事はアデノウイルス結膜炎院内感染対策委員会が作成しているガイドラインに基づいて、著者の見解を入れて記載しております。
詳しい内容が知りたい方は以下のHPへ!
URLはこちらです。
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/adenovirus.jsp
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